偉業を観察する
エレン・ランガー教授は学生を2グループに分け、偉大な業績を上げた科学者たち
の知能について評価させるという実験を行いました。
最初のグループには、科学者たちがどうやって成功を達成したかについては
何の情報も与えませんでした。
学生たちは科学者たちの知能を非常に高いと位置づけ、彼らの成功は普通では
とうてい達成できないものとして評価しました。
2番目のグループにも同じ科学者たちの業績を知らせましたが、成果だけでなく
成功までのプロセス、つまり試行錯誤を重ね、ときには後もどりした道のりに
ついての情報も与えました。
第2グループも最初のグループと同じように科学者たちの業績に感銘を受けましたが
科学者たちの偉業は自分たちにも達成可能なものであると評価しました。
この実験から、以下のことがわかりました。
最初のグループは科学者としての業績のみを知らされたことで、結果という現実の
一部しか見ない完璧主義者の思考になってしまいまいした。
一方、2番目のグループは、どうやって成功したかというプロセスを知らされたことで
家庭と結果という現実を全体としてみる最善主義者の見方をすることができたのです。
いうまでもないことですが、
すべての成功にはそのに至る過程があります。
成功を勝ち取るまでには長年研究を重ね、数多くの失敗に耐え抜き、苦悩し、
落ち込んだり舞い上がったりという浮き沈みを経験しているのです。
たとえば音楽の世界には「一夜にしての成功」が満ち溢れているように見えます。
しかし大ブレイクしたミュージシャンでさえ、成功するためには、何年にも
わたる長く厳しい下積みを経験しています。
人は他人の成功を見るとき、そこに至るために要したエネルギーや時間を軽視して
その成功は私たちが達成しえないもの、つまり超人的な才能によって成し遂げられた
ものと考えてしまいがちです。
しかし、ランガー教授はこう言います。
「誰かが何かをどうやって達成したかをじっくり検証してみると、彼らは本当に苦労しているし、自分たちもそこまでやればなんとかできるのではないかと思えるようになる。偉大な高みは一見、到達不能に見えるが、じつは順番に段階を踏んでいけばいいのだと知ることができる」
ここで考えてみましょう。
あなた個人が達成したことについて考えてみましょう。
それを成し遂げるための浮き沈みや苦悩、困難はどんなものがありましたか。
あなたが「達成できないのではないか」と不安に感じている、どうしても達成したい
大切な目標を書きだしてください。
次に、どうやってその目標を達成するかを書いてみましょう。
そこには成功するのに必要なステップ、直面するかもしれない障害や試練、そして
どうやってそれらを克服するかも書きだしてみてください。
待ち受けているかもしれない落とし穴はどこにあり、もし落ちてしまったら、そこから
どうやって這い上がるかも考えてください。
そして最後に、目標に到達している様子をイメージし、どのようにして到達したか
を書きだします。
できるかぎり、ありありと冒険物語のように話を展開させてください。
他の目標についても、このワークをくり返してください。