自分のココロに気づくブログ

不安や悩みと向き合う切っ掛け

拒絶体験が引き起こす症状

日々の生活の中で人に受け入れてもらえないことはよくあります。

好きな人にフラれたり、友達から仲間外れにされたり、話しかけたのに

無視されたり...

 

そんな時、とても辛いきもちになりますよね。

こうした体験を心理学では「拒絶」と呼びます。

 

子どもの頃から人は様々な拒絶を経験します。

みなさんにもこんな経験がありませんか?

 

同じクラスの子を遊びに誘ったのに断られた。

チーム分けで自分だけ取り残された。

自分だけ誕生日会に呼ばれなかった。

みんなに影口を言われたり、いじめられた。

 

ようやく子ども時代を生き延びても、さらに多種多様な拒絶が待っています。

 

恋人からのメール返信がこない。

会社の面接で落ちた。

友人に冷たくあしらわれた。

自分の娘に無視された。

 

こうした拒絶体験は、心のすり傷のようなものです。

ヒリヒリと鋭い痛みが特徴です。

傷が深すぎて止血が必要な場合もありますが、大抵は自然にふさがる程度の傷で

すむことが多いようです。

 

とはいえ、甘く見てはいけません。その傷が心と体にどんな影響を与えるのか、

正しく知っておきましょう。

拒絶体験をこじらせると心と体に大きなダメージを受けることになるのです。

 

拒絶体験が引き起こす症状は大きく分けて4つあります。

 

 症状1)心がズキッと痛む

 症状2)怒りを感じ、攻撃性が高まる

 症状3)自分が価値のない人間に思える

 症状4)人との繫がりが不足する

 

それでは一つ一つみていきましょう。

 

症状1)心がズキッと痛む

待合室に座っているところを想像してください。

 

部屋にはあなた以外に知らない人が二人います。

その内の一人がテーブルの上にあったボールを取り上げ、

もう一人に向かって放ります。

 

受け取った人は周りをみて、あなたにボールを投げます。

あなたは受け取ったボールを最初の人に投げます。

 

最初の人はまたもう一人に投げます。

でも今度は受け取った人が最初の人に投げ返し、

その後は二人でキャッチポールを始めました。

 

さて、あなたはどう感じたでしょう?

心が傷つき、嫌な気分になったのではないでしょうか。

何か悪いことしたかなとなんとなく自信がなくなる感じがしませんか?

 

たかがキャッチボールでくだらないと思うかもしれません。

知らない人がボールを回してくれないからといって誰が気にするでしょう。

 

でも実は極めて多くの人が気にするのです。

 

これは心理学の実験で知らない二人は協力者であなたが被験者だったのです。

この実験の結果、仲間外れにされた人は

「大きな精神的苦痛」を感じることが明らかになりました。

 

注目すべきは、この実験のシチュエーションが現実の拒絶体験よりも

かなり軽度である点です。

相手はただの他人ですし、キャッチボールなど遊びに過ぎません。

それなのに人は大きな苦痛を感じるのです。

 

恋人にフラれた時、私たちは自分で思っている以上に深く傷つきます。

面接で落ちたり、友達に誘われなかったりした時、私たちの心は非常に大きな痛み

に襲われているのです。

 

拒絶体験の痛みは他のどんな精神的苦痛よりも明確な「痛み」として感じられます。

拒絶体験の痛みを肉体的な痛みに例えると

「麻酔を使わない分娩」「がんの治療」に匹敵するという心理学の調査結果も

あるほどです。

 

それに比べると不安や失望、欲求不満などその他のネガティブな感情は

拒絶ほどに強い痛みを引き起こしません。

なぜ拒絶体験の痛みはそれほどまでに強烈なのでしょう?

その答えは人間の進化プロセスにあります。

 

人は社会的な動物です。

まだ文明のない時代、仲間に拒絶されることは、そのまま死を意味していました。

群れの助けなしには食べ物が手に入らず、危険から身を守ることができず、

子孫を残すこともできなかったからです。

 

仲間外れはそのまま死刑宣告を意味していました。

 

なので、人間の脳は仲間外れに対して危険を感じて激しく警告を発します。

脳のスキャンでみると、誰かに拒絶された時、私たちの脳内では肉体的苦痛

とまったく同じ部分が活性化するのが分かります。

 

実はさっきのキャッチボールの実験、コンピューター上でも行われました。

例えコンピューター相手であっても、ボールの代わりに爆弾に変えても結果は同じで

被験者は拒絶に傷つきました。

仲間外れにされるよりは自分に投げてもらいたいのです。

 

症状2)怒りを感じ、攻撃性が高まる

拒絶体験は痛みだけでなく、怒りと攻撃性を引き起こします。

自分を拒絶した人に怒りを覚えるのは当然ですが、ときには無関係な人たちに

まで怒りが向くこともあります。

 

いわゆる「八つ当たり」です。

壁や机を叩いたり、ゴミ箱を蹴っ飛ばしたりもその表れです。

どんなに心優しい人でも拒絶された直後は多かれ少なかれ攻撃的になります。

 

コンピューター上で行った実験では、拒絶体験した人はそうでない人に比べ

拒絶した相手に対して4倍もの報復をしました。

拒絶体験と暴力性の間には強い関連があることが分かります。

 

症状3)自分が価値のない人間に思える

手痛い拒絶を体験したり、拒絶が何度も繰り返された場合、自分が価値のない

人間のように思えてきます。

過去の拒絶体験を思い出しただけで、一時的に自信が大きく下がることが

分かっています。

 

拒絶されて自尊心が傷つくと心の中で自己否定の気持ちが高まります。

自分で自分のことを嫌いになる...自分にまで拒絶されてさらに自信がなくなる

という悪循環が始まります。

 

これを放置すると傷はどんどん悪化します。

 

症状4)人との繫がりが不足する

人には誰かに受け入れられたいという基本的な欲求があります。

この欲求が満たされないままでいると人は心身に大きなダメージを受けます。

 

珍しい遺伝病をもったアメリカ青年の話です。

彼は子どもの頃から何度も手術をうけ、入退院を繰り返していました。

この病気は体の機能だけでなく容姿にも影響を及ぼしていました。

 

その為、小中高と学校で避けられ、いじめらてきました。

大学に入学する前にカウンセリングを受けた時、カウンセラーは対人スキルが

不足していることに気づきました。

 

色んな場面でどう行動し、どう話すかという機会が今まで少なすぎたのです。

 

このように拒絶体験だけでも強い痛みを感じて辛い思いをしているのに

新たに勇気を振り絞って一歩を踏み出そうとしても人との繫がりが不足して

しまっていることがあります。