自分のココロに気づくブログ

不安や悩みと向き合う切っ掛け

悩みの思考ループ

悩みがあると、そのことを何度も思い出してしまいます。

思い出すことで新たな洞察が得られればいいのですが、大抵は暗い気持ちに

なるばかり。

嫌な気持ちを何度も追体験し、益々頭から離れなくなります。

 

嫌な出来事を思い出すたびに人の心の出羽また新たに痛み出します。

かさぶたを無理やりはがしてしまっているようなものです。

傷はどんどん悪化して、いつまで経っても治りません。

 

困ったことに、こうして頭にこびりつくのは悪い出来事に限られているようです。

楽しかった場面が頭のなかで勝手にリピートされるという経験はかなり稀でしょう。

上司にほめられた経験が頭から離れないことはまずありません。

 

一方、みんなの前で上司に怒鳴りつけられた出来事は、忘れようとしても

頭から離れなくなります。

このようなネガティブな思考のループ(心理学用語では反芻(はんすう)と呼びます)

は心身に様々な害をもたらすことが知られています。

 

例えば

気分が落ち込み、気分転換が出来なくなります。

アルコール依存や摂食障害の危険も増します。

考え方がどんどん暗くなり、問題解決能力が低下し、精神的・肉体的な

ストレス反応が増加し、心臓や血管の病気になりやすくなります。

 

この様な害があるにもかかわらず、思考のループを治す方法はなかなか解明

されませんでした。

なぜなら、アプローチが根本的に間違っていたからです。

 

一般的に心理療法では「話す」ことが治療になると考えられてきました。

なのでカウンセリングに行くと頭から離れない出来事をもう一度話すように

言われます。

すると忘れたいのにまた思い出さなければならず、思考のループをむしろ

強めてしまいます。

 

もちろん話すことが実際に治療になる場合もあります。

でもやり方を間違えると、かさぶたをはがして直りを遅くする結果になるのです。

どうすればかさぶたをはがすことなく、傷の治りを促進するようなやり方で

自分の感情や出来事に向き合うことができるのでしょうか?

 

最近の研究によって、従来とは違ったアプローチの可能性が見えてきました。

自動再生のような思考のループは有害ですが、自分の心を見つめる内省は

有益です。

有害な繰り返しをやめて、有益な内省に換えることができれば、ネガティブな

思考のループから抜け出すことが出来るのです。

 

その思考のループが心身にどのような影響を及ぼすのかといえば、

嫌な出来事や考えが頭から離れない時には、心身が様々な影響を受けます。

ただでさえ気分が落ち込んでいるのに、思い出すことによって、暗い気持ちが

どんどん増幅します。

怒りやイライラもおさまらなくなります。

 

更に思考力や判断力が低下し、仕事のミスが増えます。

人間関係がうまくいかなくなり、大切な友人や家族を失う恐れもあります。

 

次回はそれぞれの症状と手当の方法をお話します。