自分のココロに気づくブログ

不安や悩みと向き合う切っ掛け

喪失とトラウマの症状

喪失とトラウマは人生の避けがたい一面です。

愛する人を失う。

暴力や犯罪に脅かされる。

体の機能が損なわれる。

テロや戦争に日常を踏みにじられる。

 

そうした体験は、人の心に大きな傷を残します。

回復には時間が掛かるし、後遺症を残さないように細心の注意を払う必要があります。

骨折をしたときギブスで固定するように、心のトラウマから立ち直る過程でも

正しいケアが不可欠です。

無理に動かしたり、曲がったまま固定したりすると、あとで不具合が出てくる

かもしれません。

 

喪失とトラウマの傷は、自分ひとりでは治せないほど深くなることもあり〼。

症状が深刻な時は我慢せず、病院やカウンセリングで専門家の力を借りる

必要があります。

 

一方で私たちが出会う喪失体験の多くはそこまで深くないものです。

例えば、失業したとか、友達とケンカ別れした、長寿だった祖父母がなくなった

などの場合、もちろん最初は悲しいですが、その内に立ち直ることができます。

 

(但し、受け止め方は人それぞれです。失業したせいでホームレスになり、

 立ち直れなくなることもあるかもしれません。その人の経験や状況により

 傷の深さは変わってきます。)

 

どの程度の傷であれ、回復のプロセスは基本的には同じです。

折れた心の骨を寄せ集めて正しい形に戻し、元通りにくっつくのを待つのです。

正しい手当をすれば回復が早まりますし、うまくいけば喪失やトラウマの体験

から大切な何かを得ることができるかもしれません。

 

心の傷から立ち直る過程で、自分にとって大事なものを発見することがあります。

家族や友人との絆が深まったり、生きる意味を見出したり、人生に感謝できる

ようになったという話もよく聞きます。

PTG(心的外傷後成長)と呼ばれる現象です。

 

もちろん「がんばればきっと成長できる」というような単純な話ではありません。

傷の程度や心の状態、それまでの経験などによって回復の難しさは変わってきます。

それでも正しい手当をすればPTGが起こる可能性は確実に高まります。

まずは喪失とトラウマが心に及ぼす影響を正しく理解しておきましょう。

 

糖質とトラウマの症状は4つあります。

 

1)心の苦しみ

2)失ったものがあまりに大きく、自分が何者なのか分からなくなる症状

3)ショックで世界の見え方が変わり、それまで信じていたことが

  信じられなくなる症状

4)失った人を裏切るような気がして、いつまでも次のステップに

  進めなくなる症状です。

 

それぞれの症状についてみてみましょう。

 

症状1)失ったものを思い出して苦しくなる

大切な何かを失ったり、トラウマになるような体験をすると

日常がまったく別のものに感じられます。

 

その中で私たちは、多くの「初めて」を経験します。

 

あの人を失ってから初めての食事。

あの事件があってから初めて一人で過ごす夜。

悪夢のような出来事のあとで初めて鏡を見る瞬間。

 

一つ一つの出来事が否応なく思い出を呼び起こします。

もう戻ってこないのだと思うと目の前が真っ暗になり、深い悲しみに襲われます。

 

でも、悲しみは病気ではありません。正常な心の働きです。

焼けつくような痛みも、やがて時とともに薄れていきます。

そして私たちは少しずつ時間をかけて新たな現実を受け入れていくのです。

 

時間は回復に欠かせない要素です。

いつまで経っても立ち直れない場合は喪失とトラウマに人生を支配される危険が

あります。

悲しみに飲み込まれて自分を見失い、今までどんな風に生きていたか

分からなくなります。

過去の体験に閉じ込められ、人生がすっかり停止してしまいます。

 

症状2)自分が何者が分からなくなる

喪失やトラウマを経験すると、それまでの現実が一気にくつがえされます。

時には自分という存在が根本から揺らいでしまうこともあります。

 

喪失やトラウマを体験した人の多くは、多かれ少なかれアイデンティティ

再構築を迫られます。

 

例えば、

それまで会社人間だった人が職を失った時。

幸せな妻だった人がひとりぼっちになった時。

運動好きだった人が身体能力を失った時。

 

そんな時はいったん立ち止まり、自分を見つめ直す必要があります。

今の自分には何が大切なのか?

何をすれば悲しみに埋もれた自分らしさを取り戻せるのか?

 

それが見つからなければ心の穴は埋まりません。

自分が何者なのか分からないまま、失ったものの大きさに打ちひしがれ、

不安と怒りの嵐の中をきれぎれに漂いつづけることになるのです。

 

症状3)世界がわけの分からない場所になる

世界を理解したいt思うのは、人の基本的な欲求です。

私たちは自分なりのやり方で世の中の仕組みを理解しています。

たとえ普段は意識していないくても、特定の枠組みを使って日々の体験を

解釈しているのです。

 

何を信じ、世界をどう解釈するかによって、人の行動は変わってきます。

人生に意味や目的を感じられるのも、そうした枠組みがあるからです。

 

ある人は「神の意志」が世界を動かしていると思ってますし

別の人は「因果応報」がこの世の理だと思っています。

「あたゆることには理由がある」と思っている人もいれば

「全部ただの偶然だ」と思っている人もいます。

世界が公平だと思うか不公平だと思うか、努力が報われると思うか無意味だと思うか。

すべては人の世界観が決めることです。

 

そうした認識の枠組みを喪失やトラウマ体験は根底から揺るがします。

それまで信じていた世界がガラガラと音を立てて崩れ去り、わけのわからない世界に

投げ出されるのです。

 

過去に起こったことが消化できなければ、新たな現実を受け入れることもできません。

それを防ぐためにも、なるべく早く新たな世界観を構築することが大切です。

 

症状4)過去にいつまでも閉じ込められる

大切な人を亡くした後、内にこもる人は少なくありません。

いつまでも忘れられず、頭の中で死んだ人に話しかけ、まるでその人に

見られているかのように行動します。

 

普通、そういうのは一時的なものです。

人は時間とともに愛する人の不在を受け入れ、少しずつ前に進みだします。

 

でも、時には前に進めなくなることもあります。

この状態は放っておけば数年あるいは数十年も続くことがあります。