自分のココロに気づくブログ

不安や悩みと向き合う切っ掛け

喪失とトラウマの傷を手当する方法

喪失とトラウマの症状には4つありました。

 

症状1)失ったものを思い出して苦しくなる

症状2)自分が何者か分からなくなる

症状3)世界がわけの分からない場所になる

症状4)過去にいつまでも閉じ込められる

 

喪失とトラウマの体験は、日常を粉々に打ち砕き、人間関係を損ない、時には

自分自身のアイデンティティさえ破壊します。

それを修復するためには、まず心の痛みを手当して、心のかけらを少しずつ

繋ぎ合わせていくことが必要です。

 

これからその方法を紹介しますが、症状がひどい場合は無理をしないで

病院に行ってください。

強烈なトラウマ体験は心に大きな傷を残します。

苦痛があまりに大きかったり、何年も立ち直れなかったり、PTSDの症状

(フラッシュバックや悪夢、感情の麻痺、過度の警戒心や不安など)

がある場合はまずは専門家に相談する必要があります。

 

手当1)心の痛みを和らげる

一時期、アメリカではトラウマのケアに心に傷を受けた時のことをつぶさに

思い出して語るという手法がとられていました。

 

その後の研究でこの手法は逆効果であることが分かってきました。

脳科学の研究によると、私たちは思い出すことによって記憶を少しずつ

書き換えているそうです。

 

悲しい気持ちで思い出した記憶にはそれだけ悲しい色がつきます。

なので、心の痛みが癒えない段階で詳細を思い出すというやり方は

出来事の記憶と心の痛みをセットにして脳に書き込んでいるようなものです。

 

そんなことをしたら、元になった出来事を思い出すたびに強い苦しみを

味わうことになります。

フラッシュバックが起こったり、トラウマになった出来事が頭から離れなく

なってしまいます。

 

そのため、語りたくない場合は無理に語らないことです。

もちろん語りたい時は構いません。

自分の心に従うのが一番の癒しになります。

 

手当2)失われた自分を取り戻す

大切な人を失って、何年も空虚感が消えない場合は積極的にその穴を埋めた方が

いいでしょう。

具体的には以前の趣味や友人を取り戻したり、あるいは新しい趣味や友人を

見つけるのです。

 

以下のようなワークも有効です。

 

1.自分の性格や特徴、能力の中で自分で気に入っているもの、あるいは他人が

高く評価していたものを全て書き出す

 

2.そのリストの中で以前に比べて弱くなったもの、あるいは最近発揮していない

ものを選ぶ

 

3.2で選んだ特徴の一つ一つについて、なぜそれが発揮できなくなったのか

を文章で書く

 

4.2で選んだ特徴一つ一つについて、どうすればもっとそれが発揮できるかを

書いてみる

 

5.そのリストを実行可能な順に並び替える

 

6.実行可能な順に自分のペースで実行していく

 

手当3)悲しみから意味をつかみとる

耐えがたい経験からうまく立ち直るためには、辛い経験を人生の物語の中に

正しく位置づけ、そこから自分にとって大事な意味を読み取ることが大切です。

 

意味づけのプロセスは2つの段階に分かれます。

理解の段階と肯定の段階です。

 

理解とは

起こった出来事を人生の枠組みの中にうまく配置し、筋の通った説明を見つけること。

平均的には、喪失やトラウマ体験から半年ほどで理解のプロセスが始まります。

理解不可能だった体験が理解可能になれば心の回復がおおきに助けられます。

 

肯定とは

辛い出来事の中に少しでもポジティブな面を見つけることです。

たとえば

「人生のありがたみに気づいた」

「人生でやりたいことが分かった」

「思いもしなかった道が開けた」

などの気づきを得ることができます。

 

肯定のプロセスは、回復がある程度進んでから始まります。

なので、焦らないことが肝心です。

心の傷がまだ血を流している時に無理にポジティブな面を探しても逆効果です。

 

●「どのように」ではなく「なぜ」を問う

心の傷を残すような出来事を思い出す時の考え方を少しだけ変えます。

「どのように」ではなく「なぜ」と考えます。

 

「なぜ」という問いは私たちの視野を広げてくれます。

バラバラだった物事が繋がり合い、より豊かな文脈で事態を捉えられるように

なります。

単に被害者として悲しむのではなく、その意味を主体的に考えられるように

なるのです。

 

●「もしこうだった...」と考える

嫌なことが起こった時、私たちは「もしこうだったら...」と考える傾向があります。

 

「もしも別の道を通っていたら彼は死ななくてすんだのに」

「もしもあの店に入っていなかったら間に合ったのに」

 

こうした思考は一見ただの現実逃避にみえます。

しかし、科学的には「もしも」がおおきに有効であることが分かっています。

「もしも」を考えることは現実逃避ではなく「そうなるべくしてなったのだ」と

納得するための大事な一歩なのです。

 

「なぜ」という問いと同じように「もしも」という考え方は抽象的な思考を

必要とします。

物事の間に関連を探し、さまざまな側面を分析し、堂々巡りの思考を打ち破り

新たな理解に到達する第一歩になるのです。

 

そのためのコツは、よい可能性だけではなく、悪い可能性を考えることです。

「こうしていたら、あんなことは起こらなかった」と

「こうしていたら、もっとひどいことになっていた」の両方考えます。

 

この2つの思考を組み合わせることで、起こってしまった現実を人生に

うまく位置づけることが出来ます。