自分のココロに気づくブログ

不安や悩みと向き合う切っ掛け

心の毒になる3つの罪悪感

 罪悪感は誰にでもある感情です。

人を傷つけたり、やってはいけないことをしてしまったと感じる時、

人は罪悪感に苛まれます。

誰のことも傷つけず、常に正しく生きられる人などいません。

どんなに思いやりのある人でも、どこかでうっかり誰かを傷つけてしまいます。

 

人はどれくらいの時間を罪悪感と共にすごすのでしょう?

心理学の研究によると、人が軽い罪悪感を感じるは一日の内およそ2時間。

そこそこの罪悪感を感じるは週に5時間。

大きな罪悪感を感じるのは一か月に3.5時間程度だそうです。

 

罪悪感の主な役目は、やるべきでないことをやっている(やりそうだ)と

警告することです。

ダイエット中にお菓子を食べたり、仕事を後回しにしてゲームをしたりしている時

罪悪感のシグナルがやってきます。

そのおかげで「やっぱりやめておこう」と行動を修正したり、できるだけ

挽回しようと努力したりできるのです。

 

人との関係を上手く保っていけるのも罪悪感のおかげです。

 

口論の途中で恋人が泣き出した時、人は「言い過ぎたかな」と感じて態度を

和らげます。

仕事が忙しくて母親の誕生日を忘れていた時、人は「しまった」と感じて

すぐにメールや電話をします。

友達の秘密をうっかり洩らした時、人は全力で謝り、場合によっては夕飯を

おごるなどして関係を修復しようとします。

 

このように罪悪感は私たちの味方です。

罪悪感のおかげで大きな間違いをしなくて済むのです。

 

ちょっとした罪悪感はすぐに消えます。

約束を破って友達に嫌な顔をされても、夕飯をおごって仲直りすれば

すっきりした気持ちになれるでしょう。

ダイエット中に揚げ物を食べてしまっても、次の日にヘルシーな食事を心がければ

「まぁいいか」と思えてきます。

 

ただし罪悪感にも厄介な側面があります。

小さな罪悪感は味方ですが、大きすぎる罪悪感は心の毒です。

私たちの心をかき乱し、大切な人との関係をぶち壊してしまいます。

 

しかも一旦心が罪悪感の毒に侵されると、それを取り除くのは容易なことでは

ありません。

一度芽生えた罪悪感が数年~数十年にわたってつきまとうという研究結果もあります。

心に巣食った罪悪感は私たちの心と体にさまざまな悪影響を及ぼします。

 

罪悪感には自分に対するものと他人に対するものがあります。

自分との約束を破った時、私たちは後ろめたい気持ちになりますが、

それをいつまでも抱えづづけることは稀です。

先月の飲み会で食べすぎたからといって、夜中に悪夢にうなされ汗びっしょりで

飛び起きる人はいないでしょう。

仮に後ろめたさが消えなかったとしても、それは罪悪感というより後悔に近いもの

です。

 

一方、他人に対する罪悪感は心の毒になる場合があります。

「誰かを傷つけた」という罪悪感が心に大きな影を落とすことがあるのです。

心に悪影響をおよぼす罪悪感には主に3つの種類があります。

 

 1)解消されない罪悪感

 2)生存者の罪悪感(サバイバーズギルト

 3)別れの罪悪感(またはそれに関連する裏切りの罪悪感)

 

1)解消されない罪悪感

解消されない罪悪感は最もよく見られる症状で、いつまでも心からやましさが

消えない状態のことです。

私たちは自分で思っているよりも謝るのが下手なんです。

心では悪いと思っていても、うまく伝えることができず、罪悪感をため込んで

しまいます。

 

あるいは謝っても許されない場合もあります。

相手が自分のことを許してくれなければ、たとえ謝ったとしても罪悪感は

消えません。

場合によっては、もう謝ることのできない状況になることもあります。

こうした時に、罪悪感は私たちの心に根を張り、解消されないまま心を

汚染し続けるのです。

 

2)生存者の罪悪感(サバイバーズギルト

 一方、悪いことをしていないくても罪悪感に苛まれる場合もあります。

戦争や事故や病気などで大切な人を失った時、人は生存者の罪悪感に

苛まれます。

 

亡き人を思い出してしまって、日常生活を普通に送ることが難しくなります。

なぜ死んだのはあの人なのか、なぜ自分ではなかったのかと自問し、その死に

責任を感じてしまうこともあります。

 

生存者の罪悪感があまりに強い時には、PTSD心的外傷後ストレス障害)の症状

も同時に発生しがちです。

その場合はPTSDの治療を受ける必要があります。

戦争や自己などの痛ましい出来事で大切な人を亡くしたような時は、トラウマ治療

に詳しい病院やカウンセラーに相談してみましょう。

 

3)別れの罪悪感(またはそれに関連する裏切りの罪悪感)

別れの罪悪感は誰かを後に残していくときに感じる罪悪感です。

例えば、子供をベビーシッターに預けて外食に出かける時。

年老いた親と離れて暮らす時。

自分の目標のために家族を残して海外赴任や留学に行くことを決意した時。

何も悪いわけではないのにどこかにやましさを感じます。

 

とりわけ家族や友人との心理的な距離が近く、相手に恩義を感じているような

場合には、裏切りの罪悪感を感じることもあります。

これは自分の選択が相手の期待と一致しなかったり、相手の価値観に反するような

時に起こる罪悪感です。

 

自分がこれをすることで、相手は暗に非難されたと感じるのではないか。

ショックを受けて傷つくのではないか。

そんな思いが罪悪感となり、心に重くのしかかります。