意義を見いだす
マーバ・コリンズは1970年代初めにシカゴのスラム街で教師をしていました。
そこは犯罪と麻薬がはびこる、何の希望も見いだせない地域でした。
コリンズは近所の子どもたちのために、中学3年生から高校3年生が学ぶ学校を
創設しました。
生徒の多くは他の学校を追い出され、学ぶ能力さえないと思われていた子どもたち
でした。
しかしその学校の誰もが、4年間でシェークスピアやエマソンを読めるようになった
のです。
コリンズは20年以上も財政面で苦しみ、学校は何度も閉鎖の危機に追い込まれました。
しかし彼女は最後には幸せな結末が待っていると信じ、信念を見失うことは
ありませんでした。
コリンズはある生徒を例にあげて、こう言っています。
「いつの日か正解を照らす彼の瞳の輝きを見るためなら、学校の赤字をどうすれば
いいのかと眠れない夜を過ごすことなど何でもないことです」
コリンズは金銭的に裕福になることもできました。
教育省長官への就任を要請されたことさえありました。
しかし彼女は「教える」ことを愛し、教室の中でこそ有意義な仕事ができると
信じていたのです。
教師という職業は、他のどんな職業よりもコリンズの人生に意義を与え、お金では
買うことのできない満足感をもたらしてくれました。
彼女は自分自身を「世界で最も裕福な女性」であり、教師としての体験は
「(金塊貯蔵所がある)フォートノックスのすべての金塊」よりも価値があると
感じていました。
富でも名声でもなく、幸せこそが人生の価値を決める「究極の通貨」だからです。
ここで考えてみましょう。
あなたにとって、フォートノックスのすべての金塊より価値があることは何ですか?
もしもまだそれが見つかっていないなら、あなたの人生を幸福という通貨で豊かに
してくれるものは何だと思いますか?
1~2週間、毎日の行動を記録してみましょう。
1日の終わりに、その日、何にどのくらいの時間を使ったか書きだしてみるのです。
メール返信に15分、テレビを観るのに2時間、といった具合です。
分単位で区切るような正確なものである必要はありませんが、1日の様子がわかるもの
でなければなりません。
週の終わりには、それぞれの行動がどれぐらいの意義や楽しみを与えてくれ、
どれくらいの時間を費やしたか、一覧表を作ってください。
そしてその横に、その行動にもっと時間を費やしたいのか、減らしたいのかを
書き入れます。
もっと時間をとりたいのなら「+」記号を、大幅に増やしたいときは「++」と
書き入れましょう。
同様に、時間を減らしたいのであれば「-」記号を、大幅に減らしたい時は「--」
と書き入れましょう。
現状のままでいいとき、または何かの理由で時間の変更はできない場合は「=」を
記入しましょう。
いまはしていないことで、人生にとっての「究極の通貨」を稼げる行動は
ありますか?
たとえば、週1回映画を観に行くことは、豊かな生活に役立ちますか?
週に4時間を感心のある慈善活動に費やしたり、週3回運動したりすることで、
あなたはもっと幸せになれますか?
何らかの制約があり、大きな変化を取り入れられない場合は、できることでベスト
を尽くしてください。
短時間でできる、現在にも将来にも有益な行動のことを
「ハピネス・ブースター(幸福感増幅行動)」と呼びます。
あなたはどんなハピネス・ブースターを生活に取り入れることができますか?
たとえば、通勤に1時間かかり、その時間が退屈ならば、通勤中に何らかの
意義と楽しみのある活動をしてみましょう。
車通勤なら、運転中にオーディオブックや好きな音楽を聴くのもいいですし、
車の代わりに電車を利用すれば読書ができます。
このように、時間の使い方を楽しく有意義に変えることを習慣化してください。