価値ある行動をする
「80対20の法則」は、イタリアの経済学者ヴィルフレード・パレートにより提唱
されたものです。
これは一般的には、「ある国の総人口のうち20%がその国の富の80%を所有している」
とか、「ある会社の顧客の20%が会社の収益の80%を生み出している」といった法則
のことで、別名「パレートの法則」としても知られています。
リチャード・コッチとマルク・マンシーニによると、この法則は時間管理にも応用
できるといいます。
彼らは「20%の時間に努力を注ぐことで、期待する80%の結果は得られるであろう、
それにより時間をもっと有効に使えるようになる」と説いています。
これはたとえば、完璧なレポートを書くのに2、3時間かけるのであれば、30分で
及第するレポートを書くことができるのではないか、というものです。
ハーバード大学のポジティブ心理学者のタル・ベン・シャハーは学生時代、
教授たちが出す課題図書をすべて一字一句読むといった完璧主義者でした。
しかし、ある時点でこれをやめて、「パレートの法則」を取り入れ始めました。
大部分の課題図書を拾い読みし、その中で最も「努力に見合う価値のある」20%の
本を選び、集中することにしました。
「いい成績を修めたい」という彼の思いが変わったわけではありません。
変わったのは「A以外の成績はあり得ない」という完璧主義的な考え方です。
最初のうち彼の成績は少しばかり下がりましたが、スポーツをしたり、人前で話す
能力を磨いたり、友人たちと過ごしたりといった学業以外の大切な活動に以前より
多くの時間を使えるようになりました。
その結果、それまでの2年間よりずっと幸せを感じただけでなく、成績という狭い
視点ではなく、その期間を人生の中で全体的にとらえた場合の「成功度」を高める
ことができたといいます。
この「80対20の法則」はいまも彼のキャリアにとって役に立ち続けているそうです。
ここで考えてみましょう。
「80対20の法則」に基づいて時間配分を考えてみましょう。
あなたはどの行動を減らすことができますか?
どの部分にもっと時間を使いたいですか?
あなたにとって最も意義深く、楽しいこと、あなたを最高に幸せにしてくれることの
リストをつくってください。
たとえば、家族との時間、運動、音楽を聴く、などがあげられるでしょう。
リストの各項目のとなりには、毎週または毎月どれくらいの時間をその活動に使って
いるかを書きだします。
あなたは自分が大切にしている価値観に基づいていきているか考えてみましょう。
パートナーや子どもたちと価値ある時間を過ごしていますか?
1週間に3回は運動していますか?
人々の役に立つ活動をしていますか?
自宅で音楽を聴いたり、コンサートに行くために時間をとったりしていますか?
次に、そのリストに80対20の法則をどのように応用できるか考えてみましょう。
優先順位をつけ、80%の満足感を与えてくれる20%を選んでください。
このワークは私たちの人生を映し出します。
価値を置いていることと実際の生き方が一致しているか、一貫性があるかどうかを判断
する手助けとなります。
一貫性の度合いが高まれば、幸福感も高まります。