発想の転換1
1.問題点を引き出す方法
ある家電量販店で人気商品を購入するロールプレイをする。
この商品には問題点があり、どのように聞けば被験者である販売員は
そのことを明かすかの実験を行った。
パターンA
仕掛け人が「この商品について説明してもらえますか?」と聞いたところ
販売員の8%が問題点を明かした。
パターンB
「この商品には何も問題はないですよね?」と聞いた場合は61%が明かした。
パターンC
「この商品の問題点は何ですか?」と聞いたところ89%が明かした。
つまり、
問題がある前提でたずねた方が問題点を確かめやすい。
説明や報告を受ける一番の意味は何か?
忘れがちですが、いま起きている問題点を聞き出すことです。
ところがこの実験の販売員のケースだけではなく、部下や取引先、懇意に
しているお客さんを相手にした時も、隠れた問題点やデメリットを聞き出すのは
案外むずかしいものです。
あえて、隠そうとしていなくても。
でも「いま起きている問題は何?」とたずねることで、
相手の頭の中の問題リストアップが始まります。
これは「問題のフレーミング」です。
物事のどの部分にフォーカスするかによって相手は違うイメージを持ちます。
「問題」にフォーカスすれば言いにくいことも話せる雰囲気になります。
問題は、問題=厄介と捉えると発見が遅れます。
問題=事実と捉えることです。
2.否定の効用
被験者に「賞賛パターンの文章」と「非難パターンの文章」を読ませ、
書き手に対する印象を聞いた
【結果】
書き手が「頭が良さそうだ」と思ったのは
賞賛パターン 43%
非難パターン 57%
書き手が「ビジネスに詳しそうだ」と思ったのは
賞賛パターン 42%
非難パターン 58%
つまり、
内容とは関係なく、否定的な言い方には説得力がある。
「そんなものはダメだ」「上手くいかないに決まってる」
そんな風にモノゴトを否定することによって、優越感を得たり、自分の重要感を
示すことができます。
ただ、否定ばかりだと他人を遠ざけることになりちゃんに恵まれにくくなります。
でも、その一方で、否定的な言い方には、伝えている内容に信ぴょう性を持たせ
られるという側面があります。
話に知的が感じられ、思慮深く聞こえるのです。
これを応用して、以下のように話の一部に否定的な視点を加えるといいでしょう。
「○○という企画を進めたいのですが、実はまだニーズがはっきりしていなくて」
「私はその分野に関する経験が浅いのですが、是非挑戦してみたいと思います」
予想される相手からの否定を先回りして伝えることにより、相手と同じ方向を
みて話しやすくなります。
否定の力は強く、乱用すると身を滅ぼしかねませんが、適度な現状否定は物事を
前進させ、新しいものを生み出す上で有用なものです。
3.所有がもたらす感情
被験者の学生たちの半分に大学のロゴが入ったマグカップをプレゼントした。
その上で「マグカップにいくら払ってもいいか?」を聞いた
マグカップをもらえなかった学生 2.87ドル
マグカップをもらえた学生 7.12ドル
つまり、
人はたった数分所有しただけで愛着をもち、評価を高め、手放したくなくなる。
新幹線の自由席に座っていて、トイレから戻ると別の人が座っていたら
嫌な気分になりますよね?
「そこ私の席です」って言いたくなりませんか?
でも、実際にはあたなの席ではなく、自由な席です。
このように、人は短い時間でも所有権を持つと手放したくないという感情を
持ってしまいます。
手放すことは手に入れる以上に難しいのです。
同様に生活レベルを上げるよりも、下げることの方が難しいのです。